1996.10  ESSAY
クローズアップジャパンインサンパウロ展 東京展図録 対談魅惑のアマゾン

対談 魅惑のアマゾン
クローズアップジャパンインサンパウロ展 東京展図録
杉崎真之助×三木 健

S 大阪からブラジルへはわれわれ2人で参加したわけやけど、いきなりマイアミで航空会社のトラブル。ヒコーキに乗り換えられずチープなホテルに泊まらされましたね。関空から24時間以上の長い旅のはじまりです。
M マイアミからサンパウロ、次の日またアマゾンへ。いったりきたりと大いなる飛行距離のムダというか、移動時間に関しては贅沢な旅です。
S ところでサンパウロの展覧会で、なぜアマゾンなの?
M せっかく地球の裏までやってきたので足をのばそうと・・・。
S ジャングルツアーに一緒に参加した松下、澤田、渋谷、福島、廣村さん。同世代のデザイナーたちがハンモックで一緒に寝る、酒をのむとか。仕事で競うのとは違った交流ができました。
M 福島さんのここでは話せないキツイネタでみんな大笑い。でも、いつのまにかデザインの話になって、中学生の合宿みたいで濃かったです。
S 松下、澤田、渋谷の3人は会話が東京人でおしゃれです。
M それだと福島さんは、広島人でおしゃれじゃなかったのですか?
S 廣村さんは、こんなところでムダなパワーを使わないというかんじ。デザイン力を温存していた!? 
M ・・・というのは冗談で、落ちついていてドラマに出てくるお父さんのようでした。
S 極限状況?の中での経験を共有したこと。大人になるとなかなか機会のないことかも知れないが、我々デザイナーはある意味でクラブ活動を一生続けている万年学生でもあるな。

M アマゾン。とうとうたる大河の流れ。想像と違ったのは異常渇水で水位が下がって川底が見えていた。
S 地球規模の環境破壊を実感した。
M 特に森林の地球環境への貢献の大きな部分をしめるアマゾンだから影響力も大きい。
S 自然の力に立ち向かう人間の勇気と、自然と共に生きる人間の智恵と両方を考えさせられました。
M ところで、深夜の突然の豪雨、民宿が吹き飛ばされるかと思いましたよ。
S めちゃビビりました。
M ハンモックからとび降りて、あわてて荷づくりしたのは、あなた一人でした。
S コワガリの私はつぎの朝、雨の中のトレッキングをパス。しかし三木さんのジャングル対策のカッパ、まるで宇宙服です。あなたのデザイン同様の完全主義でありました。
M なにをおっしゃいます。真之助さんのシルバーのカバンとワイズの服、ジャングルをなめた格好。あれでマナウスの神が怒って雨がふったんや。
S 私、アマゾンの田舎で、田舎モノでした。(写真1)
M あんた、都会でも田舎モノです。それはいいとして、アマゾンでの体験どうですか。
S 全体をしきってた照沼さん。
M わがままなメンバーを優しく、しかし実は強力にコーディネイト。ワニに食べられなかったのも彼女のおかげです。
S ガイドのタケダさんは食ってました。
M ・・・というのはもちろん嘘です。ピラニアのフライはおいしかった。
S ピラニアにワニにハンモック、トレッキング。初体験の衝撃。興奮。

M 興奮と言う意味ではサンパウロのNIPPONJIN展はどうですか?
S 色々と考えさせられます。コミュニケーションって何ンだ!ポスターって何ンだ? フンフン。
M ナンシーが言ってたけどブラジルの人に今回の展覧会のポスターを説明するのに、掛け軸の文化が日本にあると言ったそうですが・・・。
S コミュニケーション。フムフム。ハイハイ。
M 文化が違う、言葉が違う。インターナショナルなコミュニケーションという事ですかね。
S ナショナル? ・・・何んでしたっけ。
M ・・・・・・。1つは、普遍的な視覚言語? もう1つは、日本人的? いや、もっと個人的なものかもしれないな。
S フーン。
M ・・・・・・。何というか自分の体温みたいなものをつたえたいんだ。
S 今回のNIPPONJINのポスターだけど、私なんかは、日本の文化、それと日本の言語のもつ多重性みたいなものをコンセプトにしたんだけど。コミュニケーションという意味では、すみませんが実は、あきらめていました。
M (こいつ人の話キイテナイ)アンタいつもあきらめ早いわ。
S そちらはいつもトコトンいきますね。
M ボクは、おじぎに見る日本人という事でコミュニケーションの距離感でコミュニケーションを計ろうと思ったんだけど・・・ウーン。
S ウーン。 なんか2人でため息ついてるね! 溜め息コンビ。キモチ悪いわ。ナニイウテンネン!
M ひとりでボケとツッコミやめといてんか。ところで、参加した23人の作品で気になったのは?
S えーと。あれ、時間が来てしまいました。私、思うに、この紙面の中で、我々は色モノ的あつかいですが、ご不満では。
M わたしはトークショウできっちりデザイン論を戦わせます。
S それはいいですが、マナウス空港でのセッタスタイルはやっぱり色モノですよ。(写真2)
M あれは、ジャングルでコンバースの靴がドロドロになったの!それと、セッタじゃなくて、現地で買ったゴムゾーリです。
S デザインといっしょで、ドロドロでんなあ。
M やっぱりあんたとは、仕事以外の付合は、アマゾンでおわりにするわ。
S+M ほな、さいならー。

大阪天神橋 お好み焼き アマゾナス にて