2008.03  LECTURE
奈良県シンポジウム 奈良のデザインを語る

シンポジウム 奈良国立博物館(奈良)2009.03.24
パネリスト/杉崎真之助

■はじめに

今日、近鉄奈良駅に降り立って、少し時間があったので歩いている人を眺めていて発見したこと。みなさんの背筋が伸びている。浮き足立っていない。しかし地味でもない。奈良県の方々は、街の歴史と文化に対して尊敬のような感情を持っているのではないか。奈良には大阪や神戸、東京にはない禁欲的な雰囲気がある。歓楽的な夜の風景はない。昼の次には暗い静かな夜が待っている。今日はそのあたりの秘密も知ることができるのではないかと期待しています。

奈良県五條市で大学を卒業するまで住んでいました。その後大阪で30年暮らしています。大阪にいると奈良は近いようで遠い。奈良生まれにかかわらず奈良に関してまったく素人。今日はグラフィックデザイナーの視点で参加させていただきます。

■グラフィックデザイナーという仕事の紹介に変えて、私の作品をいくつかお見せします。

スライドをお願いします。

○AGIというデザイン団体の国際大会のポスター(2006)東京+京都がテーマです。
○モリサワという書体を作る会社のための漢字をテーマにしたポスター(2001)ひとつの書体には20000字程度含まれている。
○ハンブルクでの展覧会のポスター(2007)150年の歴史がある美術館。
○文楽をテーマにしたポスター(2004)文楽BUNRAKUをローマ字表記。

奈良県シンポジウム


○遷都1300年のシンボル。コンペに出品したものです。手=廣村さんの作品が採用されました。

奈良県シンポジウム


○万葉仮名~草仮名~平仮名。左から右へ、漢字から仮名ヘの移り変わりです。

奈良県シンポジウム


○奈良のタイポグラフィ。観光キャンペーンロゴ (2001) 漢字の奈良から仮名のならへ。

奈良県シンポジウム

ありがとうございました。


■デザイン

デザインには建築・空間、製品、ファッションなど色々な分野があります。私の専門はグラフィックデザインつまり、コミュニケーションを設計する仕事です。コミュニケーションのデザインには、文字によるデザイン、マークやシンボルによるデザイン、イメージによるデザイン、それらを組合せたものなどがあります。「奈良のデザイン」コンテストは、イメージによるデザインであるとおもいます。

デザインの正解は、ひとつではない。
奈良はこれだ、という一枚の絵ってなんでしょう。しかし、デザインの正解は、ひとつではありません。今回の「奈良のデザイン」で選ばれた作品を眺めてみて感じたことは、応募されたそれぞれの人のなかにそれぞれの「奈良の発見」があるということでした。自分だけの発見、いわば針の穴に糸を通すような一枚、そんな思いをもって、皆さんが出品されているんだな、と感じました。

デザインは発見
私がグラフィックデザイナーとしての経験から学んだのは、デザインの本質とは無から有を生むものではなく、価値あるものや感動を探して「発見」することだという事実です。自分だけの奈良を発見する。そして、その作品に光が当たることで、人に伝わり、社会に届き、共感と感動が広がっていく。これはまさにデザインです。


■一人ひとりの感動が、奈良の魅力を世界に届ける。

奈良はこれだ、という一枚の絵ってなんだろう。しかしデザインの正解は、ひとつではない。

今回の「奈良のデザイン」で選ばれた作品を眺めてみて感じたことは、応募されたそれぞれの人のなかに、それぞれの「奈良の発見」があるということでした。自分だけの発見、いわば針の穴に糸を通すような一枚、そんな思いをもって、皆さんが出品されているんだな、と感じました。

私がグラフィックデザイナーとしての経験から学んだのは、デザインの本質とは無から有を生むものではなく、価値あるものや感動を探して「発見」することだという事実です。自分だけの奈良を発見する。そして、その作品に光が当たることで、人に伝わり、社会に届き、共感と感動が広がっていく。これはまさにデザインです。

奈良県シンポジウム

奈良県全体の地図を眺めてみました。そうすると、各部分が複合的につながるイメージが喚起されました。つまり奈良には飛鳥、吉野、熊野をはじめとしたとても豊かで空間的な物語の広がりがある。それが核やミトコンドリア、ゴジル体などの器官が複合する「細胞」のように見えたのです。多様性の小宇宙ですね。

奈良には、朝鮮半島、中国、中東、欧州にまで続く歴史の道がある。これは「遺伝子」。歴史や文化、交流がゲノムに記録され、時代を超えて伝わっていく、といった感じです。

キャラクターやシンボルだけに頼るのではなく、皆さんが発見した一枚一枚のデザインという資産をこれからたくさん積み重ねていくこと。その連続が、奈良をデザインしていくことになると思っています。

都市に求められる3つの力
発見する力。価値の設計 都市の価値を見つける 
編集する力。伝達の設計 価値の分類整理整頓 文脈づくり 物語づくり 
発信する力。