2011.02  ARTICLE
「生活を豊かにするデザイン」とは?

産経新聞2011年2月10日大阪版夕刊 クリエイティブ・エキスポ グラフィックデザイナー 杉崎 真之助 氏


 「デザインとは何か?」今、大学で一年生の授業を担当しているのですが、その講義の中で最初に生徒に考えさせていることです。グループで俯瞰的にディスカッションする中、毎回必ず結論として出るのが、「デザインというのは人のためにある」ということなんです。当たり前ですが、これがデザインの本質ですね。人の生活すべてが実はデザインの領域になる。今回のクリエイティブエキスポでは、生活の傍らにあるパッケージや活字、イラスト、オブジェ、空間、手づくりのものなど、盛りだくさんのデザインが展示されていますので、来場される方には、楽しみながらデザインについて考えてもらうきっかけになればと思っています。
 デザインというのは表現されたものや結果だけではなく、作り上げるプロセスや思考が重要です。例えば旅行者に向けて、大阪人が大阪の良さをそのまま発信しても伝わらないですね。関西から、もう少し広げて日本やアジアから、大阪を外から眺めてみる視点が大事です。訪れる人の立場になることで、何を大阪は発信していけば良いかがわかります。
 今回のイベントのタイトルロゴは、文字があっちこっちいろんな方向を向いています。だけど、なんとなく読めるでしょう。おやっと思わせるところがポイントです。そして、クリエイティブは多元的で多種多様なものである、という思いをここに込めています。もっと装飾的なものや、かわいいものも作りましたが、余計なものをそぎ落としたこれに決めました。必要なものだけを抽出して捨ててゆく引き算のデザイン。そういう視点が大事ですね。
 20世紀のデザインは「買わせる、使わせる、説き伏せる」の一方通行なところがありました。これからはみんながデザインを理解し、相互に発信していくようになると思います。例えばツイッターやフェイスブックのプラットフォーム(基本的な環境)上で、私たちは文字だけでなく写真や映像などあらゆる手段で簡単に自己表現ができるようになりました。これも、ツール(道具)をどう使って表現するかという点でデザインですよね。その意味で今後は、デザインの読み書き能力(デザインリテラシー)が大事になると思います。みんながデザインを理解していくことで、デザインといわれているものが活性化し、結果として大阪という都市が豊かになっていく。そういう流れで見ていくと、大阪はもっと面白くなると思いますね。
 2月25日には青空の清水さん、studio-Lの山崎さんと私との3人でトークセッションを行います。私たちはデザイナーですが、分野も方法論もまったく違いますから、デザインのさまざまなとらえ方をみなさんにお伝えできると思います。それぞれが話す内容の共通点こそが、デザインの本質だといえるでしょう。みなさんにとってデザインの本質に触れるきっかけになれば幸いです。

株式会社真之助デザイン代表
グラフィックデザイナー
デザインを情報の構築と印象の設計と定義し、
一貫したデザイン理念で文化関連からブランディング、
情報デザイン、空間計画まで、幅広く活動。
ニューヨークADC、グッドデザインアワードなど数々の賞を獲得。
大阪芸術大学客員教授。
ホームページ:www.shinn.co.jp
ツイッター:shinnoske_s

 

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